こんにちは。動物看護師の角谷です。
今回は誤飲について少しお話ししようと思います。

誤飲とは
誤飲とは、犬や猫が中毒性のあるもの(ネギ、チョコレートなど)や食べ物以外のものを誤って飲み込んでしまうことです。
中毒の症状としては食べたものによりますが、下痢嘔吐などの消化器症状から急性腎不全・痙攣発作など、緊急の症状を示すものがあります。
また、おもちゃなどを飲み込んでしまった場合は、消化管に詰まってしまうことで何度も吐き戻しが見られることがあります。
 
原因は?
犬は好奇心旺盛で興味の惹かれるものを見つけると匂いを嗅いだり口の中に入れて確認する習性があります。
その際に飼い主様が焦って取り上げようとすると「大切なものを取られまい」とそのまま飲み込んでしまうこともあります。
猫は犬と比べ、口に入れるものを選ぶ傾向があるので誤食は比較的少ないですが、おもちゃで遊んでいて誤って飲み込んでしまったり、ウェットタイプのフードを包装ごと食べてしまったりすることがあります。
また、猫に見られる特徴的な異物として、ひも状異物があります。
ひも状異物は他の異物に比べ危険性が高くなる傾向があるので注意が必要です。

 
動物病院での治療
治療法については誤飲してからの時間や症状によって選択されます。


催吐処置
吐き気を催すお薬を注射することで胃の中にある異物を吐き出させる方法です。しかし、猫や病院で緊張しやすい犬はなかなか嘔吐してくれない場合もあります。


内視鏡
胃カメラを使用し、食道や胃の中の異物を取り出してくる方法です。催吐処置で嘔吐しなかった場合や、針などの吐かせると消化管を傷つける可能性がある危険な異物の場合に選択される治療法です。

消化管切開手術

開腹後に、消化管を切開して異物を取り出す方法です。内視鏡で取り出せない異物やひも状異物など、消化管に絡まって内視鏡で取り出すのが危険な場合に選択される治療法です。
 
誤飲の予防法
誤飲に対する一番の対策は、普段から誤飲の起きないような飼育環境を整えることです。
動物が食べそうなものは片づけてしまい、おもちゃなどもほつれにくいものや飲み込めない大きさのものを選びましょう。
小さなおもちゃや紐のついたものは出しっぱなしにはせず、遊び終わったら手の届かないところにしっかり片づけてください。
またストレスなどでも、異物を舐めたり噛んだりする動物もいます。
飼育環境を見直してストレスが溜まっていないか確認してあげることも大切です。
犬の場合はお散歩の時間が少なかったり、猫の場合は逆に構いすぎることもストレスを抱えてしまうので注意が必要です。
 
まとめ
誤飲の対策はとにかく飲み込みそうものを片づけることですが、やはりちょっと目を離したすきに噛んだり舐めたりといったこともあります。
しかし、異物による中毒症状や消化管の閉塞は最悪の場合、命を落とす危険性もあります。
もしも犬や猫が誤飲してしまった場合は、急いで病院を受診してください。
その際、獣医師に「どんなものを」「いつ」「どのくらい飲み込んだのか」を伝えるようにしましょう。
もし「はっきり分からないが、何かを飲み込んだかもしれない」という場合も、早めに病院を受診することで安心につながるので、遠慮なくご連絡していただければと思います。