獣医師の竹花です。
ここ近日、エキゾチックアニマルの診察において、顔面周囲の腫れで来院される動物が複数続きました。
その中でも膿が貯まっている症例の治療を紹介させていただき、病気の啓蒙を行いたいと思います。
ラットのチュー君です。2日前から顔が腫れはじめたとのことで来院されました。
今回腫れている部分は右口角で、写真のように腫れと赤みがみられ、カサブタを剥がすと黄白色の液体が出てきました。
排膿中です。チュー君は痛いながらもグッと我慢してくれてます。
膿は黄白色の木工ボンドのような性状です。
排膿後です。中身が全部出て、腫れがしぼみました。
口腔内は問題なかったので、診断としては皮下膿瘍(皮膚の下側に雑菌の繁殖がおこり膿が貯まるもの)となります。
口に近いため口腔内洗浄用のヨード液で消毒し、雑菌と炎症を抑えるため抗生剤と抗炎症薬の投与を行いました。
原因は外傷や毛包炎を疑います。
ラード状の黄土色の膿。
ヒョウモントカゲモドキのレオコちゃんです。左目の腫れが少しづつ大きくなったとのことで来院しました。
上記の写真で眼の下側後方に穴があるのが分かりますか?
ここが大きく腫れていたので、針で切開し排膿したのがピンセットに挟んでいるものです。
チューちゃんの膿とは異なり粘土のような固形を呈しています。
排膿・洗浄後
穴を生理食塩水で洗浄すると、眼と鼻から液体が溢れてきました。穴とつながっている証拠です。
処置後、開かなかった眼が少し開いてくれました。
そのため点眼薬による洗浄と抗菌薬の投与を行い、接着剤による傷の癒合を行いました。
診断としては結膜炎や、脱皮不全や脱皮時の免疫の低下による感染を疑い、そこからの眼窩下膿瘍となります。
その1週間後の電話にて、状態は良好とのことです。
このように顔周りの腫れでも少し場所が違うだけで、
治療が変わったり、膿の性状が変わったり、はたまた膿ではないものが中に入っていたりします。
なので、安易に家で排膿を行い治療したりしないで、病院への早めの受診をお願いします。