何をバカなとお思いでしょうが、我が家にとって今年は久々の涼しい夏です。
環境保護、節電、冷気が体に悪い、等々の理由からエアコンを封印して五年、
ベランダに朝顔やゴーヤを繁らせ、夜は窓全開で寝て、暑くなる一方の夏を乗り切ってきましたが…

今年はついにエアコン稼働です! 

理由は、我が家の4歳半になるモルモット2頭。
南米原産の野生種が家畜化されたモルモットは、飼育の適温が17〜24℃、高温多湿は苦手です。毛がない品種のスキニーや幼齢の子は、もう少し温かめがいいようです。
やはり南米原産で見た目もちょっとモルモット似のチンチラは、標高の高いアンデスの山岳地帯に生息するため、17〜20℃が適温だそうです。
被毛の長短や年齢、健康状態によって、また動物種によって、適温はさまざまなんですね。

それしても、人間を含む多くの動物にとって、この暑さはやっぱりきつい!
暑いと食欲が落ちるのは人間も同じですが、特にモルモットやウサギなどの草食動物にとって食欲不振は一大事。食べない⇒胃腸の動きが停滞⇒食欲が落ちる⇒食べない⇒さらに胃腸の動きが停滞、という悪循環に陥って腸内細菌のバランスが崩れ、悪い菌が増えて胃腸にガスが溜まったり、肝臓に負担がかかったりする結果、生命に関わることにもなりかねません。

これまで夏はアルミ製のプレートにべったり腹ばい、やや夏バテ気味だったうちのモル。
ちょっと痩せてちょうどいいか、くらいに思っていたら、認識の甘さを痛感させられました。

モルがいつものように牧草を食べない、糞が小さくて少ないか?と思っているうち、見るからにしんどそうになってしまったのは半年前。「胃腸うっ滞」という状態でした。
胃腸の動きを促進する薬の内服に連日の輸液、理学療法、強制給餌にお腹のマッサージ等の治療を続け、食欲や排便が完全に回復するまでに1カ月半かかりました。
この間、どれだけ心配し、どれだけお金が飛んでいったことか!
暑さのストレスから食欲不振になったら大変、
電気料金がかさむくらいモルの健康には替えられない!!
というわけで、ついにエアコン解禁、
モルのための涼しい環境に人間も便乗させてもらっているわけなんです。

まだまだ続く猛暑の夏、人間も動物も、体調管理には十分気をつけたいですね。
「暑いから食欲ないのも当然」は、うさぎやモルモットには危険です。
糞の量が減ってないか、糞が小さかったり形がいびつになったりしてないかチェックしましょう。
もしそうなら、胃腸の動きを助けてあげる必要があります。
早めの受診をお薦めします。

獣医師の鈴木でした。