こんにちは獣医師の竹花です。
ここ1年で振り返ると、ウサギの不正咬合が比較的例年より多く見られたと感じました。
なので、その予防と発見についてお伝えできたらと思います。
まず不正咬合とは歯と歯のかみ合わせが悪くなることです。
ではなぜウサギで多いのか?
それは、ウサギはほかの動物と違って歯が伸び続ける生き物だからです。
なので一度かみ合わせが悪くなると、悪くなったまま伸び続けるのでどんどん悪化が進んでいきます。
ネザーランドドワーフの寺地ラパンちゃんが、大好きなご飯を口に入れるけども出してしまい、ご飯を食べてくれないという主訴で来院されました。
口腔内の写真です。
左の下顎の臼歯が内側に鋭くなることによって舌が傷つくことに白色化し、いわゆる炎症を起こしています。
これでは口を動かすたび痛みを感じてしまうので
ご飯を食べたくても食べれなくなります。
なので、傷に歯が触れないように削ります。
削った写真です。
麻酔から覚め、無事に家に帰りました。
後日連絡させて頂いたところ、食欲はしっかり増えてきているそうです。
このようにならないためにはどうすれば良いのか?
それは牧草をしっかり食べてもらうのが一番になります。
歯を擦り合わせることで牧草をすり潰すのですが、その時歯が摩耗するので歯は伸び続けるような生体になっています。逆に言えば固い牧草を食べないと歯が伸びる可能性が高くなります。
牧草でも固いものや柔らかいものもあるので精査する必要があるでしょう。
また、歯が伸びて痛いときのサインも知っておくとよいでしょう。
①よだれがでる ②歯ぎしりをしたり、口をよく動かす ③食欲がなくなり、それにつれ便も少なく小さくなる ④頭が傾く ⑤涙が出る ⑥くしゃみをする
など様々ありますが、①・②・③のどれか、または複数は症状として現れるので見てあげてください。
このようにウサギの不正咬合は、生まれ持った生物特有の病気ですが、予防や発見、またその治療として明確なので、注意して観察してあげることと、素早い来院を心がけてあげるだけで命に関わらずに済むことでしょう。
またウサギだけでなく、げっ歯類の草食動物(デグー・モルモット・ジリスなど)にはあり得ることなのでご注意を。
獣医師 竹花