こんにちは、トリマーの中口です。
今回は、ワンちゃんのホルモンの病気についてお話しさせて頂きます。
1、甲状腺機能低下症
どんな病気?:喉のやや下のほうにある甲状腺から分泌するホルモンは
体の新陳代謝を促します。何らかの原因によって、甲状腺組織が
3年~4年かけてゆっくりと壊れ、ホルモンの分泌が減っていく病気
症状:悲しそうな顔をする、寒さに弱くなる、食事の量は変わらないのに
体重が増え太る、足を引きずって歩く
治療法: 甲状腺ホルモン製剤をご飯に混ぜて与え、ホルモンの量をコントロール
コントロールすることによって、日常の生活を送ることができます。
2、甲状腺機能亢進症
どんな病気?:甲状腺機能低下症とは反対に、甲状腺ホルモンが
多量に分泌されてしまう病気
猫ちゃんに多く、ワンちゃんで発症するのは稀です。
甲状腺にできた腫瘍(甲状腺に腫瘍ができることも稀です)や
外傷などの外的要因や甲状腺機能低下症の治療のために投与した
ホルモン製剤が過剰だった場合に起きることも。
症状:多飲多尿、食欲旺盛だが痩せてくる、下痢、落ち着かず活発になる
治療法:腫瘍がある場合、手術による切除もしくは放射線治療
甲状腺ホルモン製剤をご飯に混ぜて与え、ホルモンの量をコントロール
コントロールすることにより、日常の生活を送ることができます
3、クッシング症候群(副腎皮質機能亢進症)
どんな病気?:糖の代謝を助ける、副腎皮質ホルモンが過剰に分泌される病気
ホルモンを分泌する副腎皮質や、脳下垂体の腫瘍などが原因で
起こります。副腎皮質の働きは、脳下垂体で産出される
ホルモンにより調節されるため、脳下垂体に腫瘍があると
副腎皮質刺激ホルモンが過剰に作られてしまうことがあります。
その治療で、多量のステロイド薬を長期に投与することの影響で
この病気と同じ症状が現れることも。
症状:太ってくる、多飲、皮膚が薄くなる、お腹が膨れる、尾の毛が抜ける
治療法:副腎皮質ホルモンの分泌量を減らす薬を投与。脳下垂体や副腎に腫瘍が
ある場合、手術をすることもあります。
ただし、脳下垂体も副腎も体の奥にある小さな臓器の為、感染症を
引き起こしたり、周りの血管を傷つけたりするリスクもあります。
4、アジソン病(副腎皮質機能低下症)
どんな病気?:副腎皮質ホルモンの分泌量が低下する病気
副腎の腫瘍や副腎皮質に指令を与える脳下垂体の異常が
主な原因。病気の為ステロイド薬を投与していてそれを
急にやめた場合やクッシング症候群の治療薬の影響で
発症することもあります。
症状:元気がなくなる、食欲不振、体重が減る、多飲多尿
治療法:代謝をコントロールする、電解質バランスを整える
5、尿崩症
どんな病気?:尿の過剰な排出を防ぎ、濃度を調整する働きをする
抗利尿ホルモンが正常に分泌されなくなる病気
このホルモンを作る視床下部や分泌する脳下垂体に傷がついたり
腫瘍があったりすると、ホルモンが正常に働かなくなり
尿の流出を抑制できなくなります。
症状:多飲多尿
治療法:抗利尿ホルモン剤を投与。いつでもすぐに水が飲める状態であれば
特に処置をしない場合もある。尿が多くなるだけで、病気による
ダメージはほとんどなく過ごすことができる。
6、糖尿病
どんな病気?:膵臓から分泌されるインスリンと呼ばれるホルモンが不足したり
充分に働かなくなることで体に必要なブドウ糖が尿とともに
排出されてしまう病気。膵臓の病気、ウイルスによる感染症の他
遺伝的にインスリンが充分に機能しないことが原因の事もある。
また、食べ過ぎや運動不足による肥満も原因の一つと
考えられている
症状:食欲旺盛だが痩せる、多飲多尿
放置すると網膜症、白内障、腎臓障害になってしまうことがあるので
ご飯の与えすぎや運動不足にならないように飼い主さん自身が気を付けて
あげて下さい
治療法:血糖値の上昇を抑える食物繊維を多く含むフードを与える食事療法
インスリンの注射によって血糖値をコントロールします。
いずれも、動物病院の処方や指導の下行います。一度かかると完治が
難しい病気なので、合併症など更なる悪化を防ぐことが大切です。
予防法:成犬なら一年に一回、シニア犬なら半年に一回を目安に血液検査を行う
肥満の大敵は運動不足。健康な犬なら大型犬で一回60分以上、
中型犬、小型犬は一回20〜50分を目安に一日二回お散歩に
行ってあげましょう♪
以上、6点がワンちゃんのホルモンの病気です。
ワンちゃんは言葉が話せない分、飼い主の皆さんが一日一日よく観察し
読み取ってあげることが大切です。いつもと違う仕草や行動をした時は
すぐ、動物病院まで相談してください。
担当:中口