だんだんと暖かくなってきましたね。また今年も予防シーズンが始まりました。そこで今回はよく質問にあがる「なぜノミダニの予防は必要か?」について詳しく話していきたいと思います。
そもそもノミやダニが犬や猫にどのような病気を引き起こすかご存知でしょうか。意外と知られていないことなので、まずはノミが引き起こす病気について説明していきたいと思います。
まず一つ目はアレルギー性皮膚炎です。ノミの唾液がアレルゲンとなり、一匹でもノミに刺されたときに強い痒みを伴う皮膚炎が起こります。二つ目は瓜実条虫症です。ノミの体内には瓜実条虫の幼虫が入り込んでいることがあり、ノミをつぶしたりすることで犬・猫の体内に入り感染し、下痢や体重減少などを引き起こします。この二つが主にノミが引き起こす症状として多いもので、その他には毛づやの消失、吸血の刺激や痒みによるストレス、かき傷による化膿性皮膚炎などがあげられます。
また、人にもノミによる病気があり、一つは猫引っかき病(別名バルトネラ症)です。ノミが媒介するバルトネラ菌が、猫の爪や口腔内を経由し、猫に引っかかれたり咬まれたりすることで人に感染して、リンパ節の炎症や発熱を引き起こします。他にはノミ刺咬症や瓜実条虫症があります。ノミ刺咬症は強い痒みが引き起こされ、瓜実条虫症は犬・猫と同じく下痢になります。
次にダニが引き起こす病気について説明します。
まず一つ目は貧血です。マダニから大量に寄生・吸血された際に貧血を引き起こします。二つ目はアレルギー性皮膚炎です。マダニの唾液がアレルゲンとなり、強い痒みなどを引き起こします。最後にダニ麻痺症があります。マダニは種類によって唾液中に毒性物質を産生するものがいます。そうしたマダニに吸血され、毒性物質が体内に注入されると、神経障害を引き起こします。これらは直接マダニが寄生することにより引き起こされる症状です。マダニを介して起こる病気があり、犬で怖いのがバベシア症です。貧血、発熱、黄疸、元気消失などが起こり、症状が重い場合は急死することもあります。その他でのマダニを介した病気は日本紅斑熱、ライム病、Q熱、エールリヒア症などがあります。これらは主に人に症状が引き起こされます。
以上が主にノミ・ダニから引き起こされる病気です。ここでなぜ予防が必要かということですが、予防することにより単純に犬・猫に病気がもたらされることを防ぐことができます。また、ノミダニは人にも病気をもたらすので犬・猫だけでなく飼い主さんも病気から守ることができるのです。ゆえに、しっかりノミダニの予防をしていくことにより、わんちゃん猫ちゃん、さらに飼い主さんも快適に生活していくことができることでしょう。うちの子は外に出さないので予防しなくても大丈夫と思われる方もいますが、飼い主さんがノミダニを家に連れ帰ることがあるので一概に安心はできないのでご注意を。
予防の仕方や期間など分からないことがあればいつでもスタッフにお聞きください。
獣医 石鍋