社会福祉法人日本ライトハウスの盲導犬訓練所を見学してきました。
まずは盲導犬について。
盲導犬となる犬は、生後50日前後から里親ボランティア
(パピーウォーカー)のもとに預けられ、約1年間、人間社会
での生活に必要な基本的なしつけと十分な愛情を受けます。
パピーウォーキングを終えた候補犬たちは、訓練所に戻って
適性を評価され、盲導犬になるための訓練を6~8ヶ月間に
わたって行います。ユーザーに安全で効率的な移動を補助
するため、盲導犬たちは主に次の3つのことをするよう訓練されます。
① 原則的に左側を通行する
② 障害物を回避する
③ 段差や交差点を発見し、止まる
訓練は町中で行うことが多く、住宅地や繁華街での歩行、
公共交通機関の利用など様々な場所で適切な行動がとれ
るように繰り返されます。
適性審査や数々の訓練を経て、実際に盲導犬になれるのは
生まれた子犬の半分以下だそうです。盲導犬の世界も厳しいんですね。。。
見学させていただいた訓練所内の施設をご紹介します。
≪手入れ室≫
視覚障害者の方が盲導犬を希望する場合、訓練所に宿泊して
約4週間(2頭目以降は約2週間)候補犬と共同生活を送り、訓練を受けます。
盲導犬は動物であるため、その世話はユーザー自身が行わ
なければなりません。訓練期間中は歩行訓練と同時に排便、
グルーミング、食事、健康管理など盲導犬との共同生活に
必要な世話のトレーニングを行います。
≪犬舎≫
訓練中の犬たちは1~2頭ずつ小部屋に入っています。
盲導犬として多く使われている犬種は、温厚で頭の良いラブラドールや
ゴールデンのレトリーバー種です。近年、両種の良いところを兼ね備えた
一代雑種も増えており、見学したときにもちょうど候補犬の中にこの一代雑種の犬がいました。
≪産室≫
盲導犬に適した性格や能力を持ち、なおかつ健康状態が
良好な犬は、繁殖犬として交配させて子犬を産ませます。
産室の床は平らで滑りにくく、また床暖房も取り付けられて
いるなど、母犬が安全に出産できるよう配慮されています。
≪調餌場≫
候補犬たちの餌の量はそれぞれの犬ごとに正確に計量され、
徹底した管理のもと与えられています。
調餌場には個体別の給餌量表ときれいに洗われて並べられた
餌皿、そして部屋の片隅にはなぜか猫の餌まで(?)…。
これは訓練所で飼われている猫ちゃんのものでした。
候補犬たちが訓練中、猫に出会っても気が散らないよう慣らす
ために飼育しているそうです。
≪慰霊碑≫
盲導犬も年をとれば体力や視力が低下するため、約10年で
現役を引退します。
引退後、余生をボランティアさんのもとでゆっくり過ごし、天寿を
まっとうした盲導犬の骨は、一部分骨して慰霊碑に納められています。
「お疲れ様でした。ゆっくり眠ってください。」
納められた多くの骨を見て、自然と手を合わせ、こう祈りました。
最後に、運動場で未来の盲導犬『キトちゃん』に出会いました。
職員の方がパピーウォーカーとして育てているラブラドールで、
芝生の上を元気いっぱいに走り回っていました。
これから、厳しい訓練が待っていますが、きっと立派な盲導犬
になってくれるはずです。
頑張れ!キトちゃんっっ!!