こんにちは。獣医師の石鍋です。

今回は人獣共通感染症(人から動物、動物から人に移る病気)について少し話そうかと思います。

 

診察をしていて「この病気は人に移りますか?」また「この病気は動物に移りますか?」と、聞かれる事も多いです。なので、今回は身近におきやすい人獣共通感染症をいくつかあげたいと思います。

 

まず犬と猫でよくあるのが皮膚糸状菌症です。その名の通り、皮膚にできる病気で円形脱毛やかさぶたができたりします。痒みはそこまでひどくないです。人には赤い発疹ができます。触る箇所に移っていきます。治療は抗真菌剤の塗布や飲み薬、薬用シャンプーで治ります。

 

猫では猫引っかき病というのがあります。猫ひっかき病は、その病名が示すように主に猫の掻傷、咬傷により感染します。猫自身は基本無症状で、人では初期には丘疹、水泡など、1〜2週間でリンパ節の腫脹がみられることがあります。多くは後遺症なしで完全に治癒します。

 

さらに猫からトキソプラズマ症の感染も危惧されてますが、成人は感染しても主に無症状で一般的な飼い猫から移る事はほとんどないです。猫と触れるだけでは感染しません。主に便からの感染なので、可能性があるとすれば外猫を向かい入れたときや、公園の砂場での猫糞やネズミの糞との接触、経口感染です。また、羊肉や豚肉などの生食による感染もあります。感染して危険なのは妊婦、幼児、免疫抑制状態にある人です。妊婦に至っては胎盤感染があるので胎児にも危険が及ぶので注意が必要です。

 

 

上記のように身近で起こりえる人獣共通感染症はまだいくつかありますが、移りやすいものとそうでないものや、重篤な症状になるものとそうでないものもあるので、もしそういった病気を疑う事があれば早めにご相談ください。