ワンちゃん、ネコちゃんのお尻には、便よりも悪臭を放つ分泌物を溜めておく、肛門嚢(こうもんのう)と呼ばれる袋があります。
肛門嚢は肛門に向かって左右一対、時計の4時と8時の位置にあります。
袋の中に溜まった分泌物は、恐怖を感じた時や排便時に便とともに、細い管を通って肛門粘膜から排泄されます。
この分泌物は、袋の中にある肛門腺(液体を分泌する器官)から出た脂質を含む分泌液や壊れた細胞などが混じったものです。
分泌物が過剰に溜まると、袋の中で液状から顆粒状へと変敗します。
すると肛門粘膜を刺激し、炎症が起きて肛門嚢炎という疾患が起こります。
注意して頂きたいのは、
・運動不足や排便頻度に制限のある室内犬
・パグなど肛門が内側に入りやすい短吻種
・肥満によって肛門周囲の筋力が低下した犬 などです。
炎症が起こると肛門周囲にかゆみが出ます。
お尻を地面にこすりつける・気にしてなめたり臭いをかぐ、といった行動は要注意です。
炎症が軽い状態では症状が出なかったり、ひどくなると破裂もする怖い疾患です。
お家の子のお尻は大丈夫ですか?
獣医師:松崎