前回に引き続きフィラリアについて、少し詳しくお話します。
フィラリア(犬糸状虫)は、犬から犬へと蚊によって運ばれる寄生虫です。
成虫から「ミクロフィラリア」と呼ばれる幼虫が生まれます。
このミクロフィラリアは常に犬の血液に乗って全身を回りながら、蚊によって吸血される瞬間を待っているのです。
血液とともに吸われたミクロフィラリアは蚊の体内で成長し、感染能力を獲得します。
そして、再び蚊が吸血したときに犬の体内へと再侵入するのです。
犬の体内に侵入したミクロフィラリアは約2カ月かけて、成長しながら静脈を目指します。
やがて心臓に達すると、感染から約半年で成虫に成長します。
成虫は右心系と呼ばれる右心室や肺動脈に寄生します。
成虫が数多く寄生すると、心臓や肺血管内に充満するために血液が滞ります。
ワンちゃんも初めは運動を嫌がるようになる、咳をする程度ですが、進行するとお腹や肺に水が溜まる腹水症や肺水腫、さらに呼吸困難に陥り、死に至ることもある恐ろしい病気です。
現在では薬の服用で体内に侵入したミクロフィラリアを駆除できるため、発症が予防できます。
病院には、
・粉末
・錠剤
・ジャーキー(チュアブル)
・注射
様々なタイプの駆虫薬があります。
服用しやすいタイプを選んで、予防していきましょう。
ただし、ミクロフィラリアは約2カ月かけて成長するため、蚊が出始める1か月後(4月頃)~蚊がいなくなった1か月後(11月頃)までの服用をお勧めします。
また成虫やミクロフィラリアが体内に存在する状態で駆虫薬を服用すると、大量の死骸が血管に詰まり、ショック死を引き起こす可能性があります。
駆虫薬を服用する前には、まず感染の有無を確認する検査が必要です。
獣医師:松崎