梅雨がまだ続いてじめじめした環境ですがいかがお過ごしでしょうか。

今回は犬の下痢についてお話します。下痢は、犬に非常によく見られる体調不良の一つです。それだけに、様子見をするか病院に連れていくか、悩む飼い主さんも多いようです。そこで、今回は、下痢をした場合に考えられる原因や対処法について少し紹介していきます。

まず、犬の下痢の原因(「疲れ、ストレス」、「誤飲、誤食」、「寄生虫」など。)はいろいろありますが、下痢は体質によることが多く、下痢になる子は頻繁になります。いつもと違うものを食べたり、体が冷えたりして一過性の下痢になるのは正常な反応です。愛犬が下痢をしたら、まず食べたものや生活環境に思い当たるふしがないか、チェックしてみてください。下痢が1日で治まり、食欲もあるようなら様子見で大丈夫です。ただし、2日以上続くようなら病院へ。体の中でよくないことが起こっている可能性があります。とくに「下痢」と「吐く」が両方出ている場合は危険です。なので一過性なら様子見でOK、2日以上続くなら病院へ行きましょう。

また、下痢には大別して大腸性の下痢小腸性の下痢があり、使用する薬の種類も違うため、排便の回数や便の状態もよく観察してください。便の回数は増えないけれど、便がゆるいという場合は小腸性。少量の便を何回もして、人でいえば“トイレから出られない状態”は大腸性が疑われます。血便が出て慌てて病院に来られる人も多いのですが、血便を伴う下痢は、赤い鮮血なら大腸からの出血、黒いタール便なら胃や小腸からの出血と考えられます。大腸性の下痢の場合、とくに重い病気ではなくても、下痢が続けば腸の粘膜が傷ついて血便や粘液便になることがあります。

そこで、診断には飼い主さんの説明が必須です。下痢は、飼い主さんの説明なくして正確な診断はできません。どのぐらい下痢が続いているのか、回数はどうか、食欲はどうか、元気はあるか、誤飲の可能性はあるか、環境に変化はあったか等、状況を把握している人が病院に連れてきてください。誤飲や環境変化など「思い当たるふし」はとくに重要です。初めから誤飲の可能性が分かっていれば、対処が早くすんで愛犬の負担も減ります。また、普段から下痢気味なのか、まったく下痢をしないのか。もともと食が細い犬なのか、いくらでも食べる犬なのかなど、普段との比較があって、初めて適切な対処法を提案することができるので、飼い主さんは愛犬の普段の状態をしっかり把握しておくとよいでしょう。

 

獣医師 石鍋